CAMOUFRAGEカムフラージュ
プ、プッ、ププッ、プハッ、ハハッ、ハハハ‥‥。
宍戸はハンドルに置いていた左手を、
口元へ持っていき、噴き出した笑いを押さえる。
「ミキクンって‥‥、マジ、カーワイイ。キレカワ」
チラリと横目で美樹を見て、ニヤリとする。
「マ、ネ、ゴ、ト、だからネ」
だから、ソレ、なんだよ? 訊きてえ。
「ヤッてはないから、そんなビビンないでヨ」
面白そうにチラチラと美樹に目線を送る。
「べつに‥‥オレは‥‥」
「オレ、バリタチだし、
マサトは、絶対ネコなんかなんないから」
そうだろ?
と、宍戸は首をサッと横に振り美樹に確認する。
バリタチ?‥‥ネコ?
‥‥ホモ用語か?
美樹がきょとんとして見返すと、
「ダメ、かわいすぎ」
プ、プ、プと、左手の甲で口元を押さえた。
くそオ。
「オマエ」
美樹は目を尖らせた。
コイツは、店に来た時から、
オレの大嫌いな、あの言葉を連発しすぎる。
「運転中で、ミキクンのカオ、じっくり見れなくて、
すっげえ、ザンネン」
だから、そーいうの、ヤメろ。
「オマエ、なあ‥‥」
「で、二人は、いつから付き合い始めたんだっけ?」
え‥?
ああ、えっと。
「一カ月前‥」
暮林と昨日打ち合わせた設定が、美樹の口を出る。
「じゃあ、もう、マサトと経験済みだろ?」
え、ええ? えっ‥と‥‥。
「まさかマサトがセックスレスってことないよな?」
ああっ? ‥‥ナンてコト訊くんンだ‥‥。
二度目の信号で車が停車した。
宍戸はハンドルに両腕を預けるようにして、
首を大きく助手席へ振り向けた。
モゴモゴしてしる美樹を直視する。
「ま‥‥まあな」
と、美樹はフロントガラスに映る宍戸の横顔に答えた。
宍戸は美樹から目を外さない。
探り入れられてンだな‥‥。
美樹の喉がゴクっと小さく鳴る。
フーンと、宍戸は美樹の横顔から目を外した。
信号が青へ変わる。
宍戸はゆっくりとアクセルを踏んだ。
「マサトは、オレやツルンでたヤツラと、
ま、そんな感じで、
イケナイお遊びナンカもしてたんだけどネ‥‥」
宍戸の口調が変わった。
Copyright (C)grisgrisblanc2 2008